「営業代行を頼みたいけれど、予算が限られている」
「スポットで急ぎの依頼をしたいが、代行会社は手続きが面倒だ」
働き方の多様化に伴い、営業経験豊富なプロフェッショナルが「副業」や「フリーランス」として営業代行を請け負うケースが急増しています。これまでの「営業代行=法人(会社)に依頼する」という常識が変わりつつあります。
では、企業は専門の代行会社(法人)に頼むべきか、それとも優秀な個人に頼むべきか。
結論から言えば、「自社のフェーズと予算によって使い分ける」のが正解です。
本記事では、両者の特徴を徹底比較し、失敗しない依頼先の選び方を解説します。
1. 法人とフリーランス(個人)の比較表
まず、両者の違いを一覧で見てみましょう。
| 比較項目 | 法人(営業代行会社) | フリーランス(個人) |
| 費用感 | 高め(中間マージンあり) | 安め(直接契約のため) |
| リソース量 | 豊富(チーム体制が可能) | 有限(1人の稼働上限がある) |
| スキルの質 | 担当者によりバラつきあり | 個人のスキルに依存(ピンキリ) |
| 対応スピード | 契約手続きに時間がかかる場合あり | 柔軟・即日稼働も可能 |
| 安定性・リスク | 高い(組織として担保) | 低い(病気や音信不通のリスク) |
| セキュリティ | 高い(Pマーク取得など) | 個人の意識に依存 |
| 主な契約形態 | 業務委託契約(準委任/請負) | 業務委託契約(準委任/請負) |
最大のポイントは「費用」と「安定性」のトレードオフです。
法人はコストがかかる分、組織としての安定性があります。個人はコストが安い分、属人性が高くリスクが伴います。
2. フリーランス(個人)に依頼するメリット・デメリット
メリット
① 圧倒的なコストパフォーマンス
法人に依頼する場合、営業担当者の人件費に加え、会社の管理費や利益が上乗せされます。個人への直接依頼ならこれらがカットできるため、法人と比較して3割〜5割ほど安い費用で依頼できるケースも珍しくありません。
② 柔軟な対応とスピード感
法人のような社内稟議がないため、意思決定が早く、「明日から稼働してほしい」「土日も対応してほしい」といった急な要望にも柔軟に対応してくれる場合があります。
③ トップセールスに直接依頼できる可能性
大手企業でトップの成績を収めている現役営業マンが、副業で代行を行っているケースがあります。こうした「本物」のプロに、法人の新人担当者よりも安い金額で依頼できるのは大きな魅力です。
デデメリットとリスク
① 「属人化」のリスク
その人が病気や怪我で働けなくなったら、貴社の営業活動はストップします。代替要員はいません。
② 音信不通(バックレ)のリスク
残念ながら、途中で連絡が取れなくなる無責任なフリーランスもゼロではありません。
③ セキュリティ管理の不安
顧客リストという機密情報を渡すことになりますが、個人のPCのセキュリティ対策が万全とは限りません。情報漏洩リスクは法人よりも高くなります。
3. 法人(代行会社)に依頼するメリット・デメリット

メリット
① 組織としての「安定性」と「リソース」
担当者が休んでも、会社が責任を持って代わりのスタッフを用意します。また、「来月から架電数を3倍にしたい」といった急な拡大要望にも、チーム体制を組んで対応できます。
② ノウハウの蓄積とセキュリティ体制
多くの企業を支援してきた組織としてのノウハウ(勝ちパターン)を持っています。また、Pマーク取得など、セキュリティ体制も整備されているため安心して依頼できます。
デメリット
費用が高いことです。また、大手であっても、実際に現場で稼働するのは経験の浅いアルバイトや新入社員というケースもあり、必ずしも「法人=高品質」とは限らない点に注意が必要です。
4. 失敗しないフリーランスの探し方と契約のコツ
リスクを理解した上で、それでもフリーランスを活用したい場合のポイントです。
① マッチングプラットフォームを活用する
SNSで直接探すのはリスクが高すぎます。以下のような、評価制度があり、間に運営が入ってくれるプラットフォームを利用しましょう。
- 総合型: クラウドワークス、ランサーズ
- 営業特化型: kakutoku(カクトク)、Saleshub(セールスハブ)、Workship(ワークシップ)など
これらのサービスでは、過去の取引相手からのレビュー(評価)を確認できるため、地雷案件を避けることができます。
② 契約書とNDA(秘密保持契約)は必須
「知り合いだから口約束で」は絶対にNGです。業務内容、報酬、契約期間、そして最も重要な秘密保持契約(NDA)を必ず書面で締結してください。
③ 事前のWeb面談で「人となり」を見る
スキルだけでなく、ビジネスマンとしての基本姿勢を確認します。
- レスポンスは速いか?
- 約束の時間を守るか?
- 報連相(報告・連絡・相談)ができそうか?
Zoomなどで顔を合わせて話すことで、ある程度の信頼性は見極められます。
まとめ:フェーズに合わせて「賢く使い分ける」
どちらか一方に決める必要はありません。企業の成長フェーズに合わせて使い分けるのが賢い戦略です。
- 創業期・テストマーケティング期(予算が少ない):
→ フリーランスに小さく依頼し、低コストで「売れるトーク」の検証を行う。 - 拡大期・安定稼働期(リソースが必要):
→ 検証済みのトークを元に、法人(代行会社)に依頼してチーム体制で拡大する。
特に、リソースが不足しがちなスタートアップ企業にとっては、この使い分けが成長の鍵を握ります。

